ブログ|和歌山市の眼科|おだ眼科クリニック

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白内障について

*目の中のレンズに相当する「水晶体」という部分が濁ってくることを白内障といいます。

*白内障の原因で一番多いのは「加齢」つまり老化現象です。80歳くらいになると混濁の程度の差こそありますが、ほぼ100%白内障がみられます。

 それ以外にも、糖尿病、ブドウ膜炎、外傷、薬剤(ステロイド等)、アトピー、紫外線等 が原因の場合もあり、比較的若い世代でも白内障がみられることもあります。

*白内障の症状として、かすむ、まぶしい、物がだぶって見えるなどが有名ですが、その他、眼鏡をかけても見えにくい、近くのものが最近よく見える・・などの訴えがきっかけで当院を受診され、白内障が見つかるケースにもよく遭遇します。

*白内障と診断され、まだ見え方に不自由をきたしていない場合は、点眼薬を開始するのか、点眼せずに経過をみるのかに二分されます。ただし、点眼薬は白内障の進行を抑える目的で点眼されるもので、白内障を治すような特効薬ではありません。大事なことは、眼科で定期的に検診を受けておく事だと思います。

白内障による視力低下があり、眼鏡をしても改善なく、見え方に不自由をきたしてきている場合は、現在のところ、手術でしか治す方法がありません。

 視力がいくつ以下になったら手術をしましょうといった基準は特にありませんが、一例をあげると、車を運転する人の場合、免許の更新は0.7以上の視力が必要ですので、これくらいの視力を目安としている人もあります。しかしそれ以下の視力でも、生活にまだ不自由無いので・・と経過みられておられる方もおられます。

 御自身の職業・全身状況・生活スタイルに合わせて考えて頂き、眼鏡を装用しても、見えにくくて不自由になり、そろそろ治したい・・と思う頃が、手術のタイミングかと思います。 

OCT(光干渉断層計)

当院では、平成25年より、OCT(光干渉断層計)という機器を導入しています。

(NIDEK社製 RS3000)

 この器械は、黄斑部におけるワイドスキャン(9×9mm)が撮影可能で、かつ正常人のデータと比較する事ができる点が特徴ですが、1) 網膜(黄斑近傍)の断面図を画像化したり、2) 網膜全層、網膜内層(神経線維層等)の厚みを測定できるため、

*緑内障の診断・緑内障の経過観察の評価

*網膜・黄斑疾患(黄斑円孔、黄斑前膜、糖尿病網膜症(黄斑症)、 加齢黄斑変性、中心性漿液性網脈絡膜症、その他疾患)

 などに有用です。 

 これまで、

「目の奥の網膜(黄斑)がむくんでいる。」 「目の奥の神経が薄くなっている。」「目の奥の網膜(黄斑)に膜がはっている。」 など、眼底写真でしか、うまく表現できなかった部分を明瞭に画像化できるようになりました。

お悩みの方、ご希望の方は、お気軽にお申し付け下さい。

翼状片について

*主に目頭の白目(結膜)が黒目(角膜)に三角形状に入ってくる病気です。

*2005年~2006年にかけて、沖縄の久米島で行われた調査(久米島スタディ)で、40歳以上の約30%の方に翼状片がみられたとの報告があります。

 また、屋外で主として働いている方の方が、屋内で働く方よりも、翼状片の有病率が高いことからも、紫外線の関与は指摘されていますが、はっきりした発症の原因はよくわかりません。

*翼状片は、悪い(悪性)組織では無いので、症状が何も無いうちは、放置しておいて大丈夫です。時に、異物感、充血、流涙などの症状をきたすことがあり、その際は点眼薬による対症療法を行いますが、点眼薬により翼状片自体は治る訳ではありません。

*点眼薬でも症状がよくならなかったり、翼状片が瞳孔領近くまで侵入して角膜のゆがみ(乱視)がきつくなって、視力低下をきたしたり、その他、何らかの不自由をきたしている場合、年齢、大きさ(角膜への侵入の度合い)等を踏まえ、そろそろ手術を検討します。根本的に治す方法は、翼状片を外科的に切除するしかありません。

*翼状片を、ただ単に取り除くだけでは、特に若い人ほど再発しやすいので、再発予防を目的に、術中に、特殊なお薬を使用する場合があります。

紫外線の目への影響

*地球に到達する太陽光線は、大きく分けて紫外線、可視光線、赤外線に分けられますが、そのうちの紫外線は、波長が短くエネルギーの高い光であり、目には見えません。

*紫外線により日焼けを起こすことは有名ですが、目にも似たようなことが起こります。黒目(角膜)に強い紫外線(特にUV-B)があたると、黒目の小さな細胞が剥げ落ちてしまい、小さな傷が無数にできて、強い目の痛み、充血といった症状がでることがあります。これを電気性眼炎(雪目)といいます。溶接時にでる紫外線や、ゲレンデで反射した紫外線が目にあたって起こるケースが有名です。冬に紫外線?と思いますが、紫外線は標高が高い程増加する上に、地表面の種類によって反射率も違い、新雪では、紫外線の反射率が砂浜や水面に比べかなり高い為のようです。大概、目薬や眼軟膏、痛みどめ等の処方で、数日でよくなります。

*紫外線による目の障害は、上記以外に、白内障、翼状片、加齢黄斑変性、まぶたの腫瘍等起こす事があります。そのため、外出時は、つば広の帽子を着用したり、UVカット機能のついた眼鏡、サングラスを装用する等で日頃から予防する事が大切だと思います。ちなみに、色が濃いサングラスだと、瞳が開き、紫外線が目の中により多く入るため、色は薄い方が良いといわれています。

糖尿病網膜症について

*糖尿病は、血糖値が上がり、血液がドロドロになってしまう病気です。

そのため、全身的に様々な合併症を起こす事が知られていますが、そのうちの一つが糖尿病網膜症です。

*糖尿病網膜症についてお話します。眼底には、薄い神経の網膜という膜があり、ここで物を見たり、色や光を感じたりしています。網膜に対して酸素や栄養を送る細かい血管が糖尿病によりダメージを受けて血管が詰まり血液の流れが悪くなってしまうと、網膜が酸素不足・栄養不足の状態となります。この状態が続くと、新たな血管(新生血管といいます。)が血液の通っていない網膜の領域に発生してきます。しかし、この血管は非常に脆く、すぐに破裂してしまいます。そうした悪循環を繰り返し、それらはやがて増殖膜となって、硝子体出血や網膜剥離を引き起こし、最悪の場合は失明に至ってしまいます。

これらの状況を病期で分類すると、大きく3つの時期に分かれます。

単純網膜症・・・血管から血液がしみだし、出血や毛細血管の瘤、硬性白斑等が見られます。自覚症状はありません。

前増殖網膜症・・・網膜の血管が詰まってくる時期です。血管の蛇行・拡張がみられたり軟性白斑等見られます。新生血管が生えてくる一歩手前の段階で、一般的にレーザー加療を開始する時期です。但し、この時期でも、特に自覚症状が無い人の方が多いと思います。

増殖網膜症・・・虚血になった網膜の領域に新生血管が生えてくる時期です。この頃になると、さすがに見えにくくなってきたという人が多いですが、既にかなり危険な状況です。手遅れになれば失明します。この時期になると、レーザー加療はもちろんですが、場合によっては硝子体手術を必要とするケースも多いと思います。もちろん、どの病期にあっても、糖尿病のコントロールが必要であることは言うまでもありません。

*糖尿病が目に及ぼす影響は、網膜症以外にもいろいろあります。

白内障、角膜の障害、黄斑症(→物が歪んで見える)、ブドウ膜炎(→かすむ)、屈折・調節の変化、血管新生緑内障(→眼圧が高くなる)、外眼筋麻痺(→目が動かない) などが起こる事があります。

*糖尿病網膜症において、虚血になった網膜を放置すると、新生血管が生えてきて網膜症はさらに悪化するため、網膜光凝固(ひかりぎょうこ)術を行います。要はレーザーによる加療で、当院でも行っています。但し、レーザーで網膜に凝固斑をつける(≒網膜のやけど状態)加療ですので、レーザーをしたから視力がよくなるとか、網膜症が治るといったものではなく、網膜症をこれ以上進行させないように施行するのが目的です。多くは、レーザー後の視力はレーザー前と変わらないか場合によっては低下します。また、レーザー後、暗く感じるようになったとおっしゃる方もおられます。しかし、長い目で見た時に、将来的に失明を予防する治療としてきわめて重要なものです。もちろん、レーザー加療をした後も、血糖のコントロールの管理は、引き続き重要です。

*糖尿病と言われたら、仮に自覚症状がなくても、眼科で定期的に眼底検査を受けておく事はきわめて重要です。見えにくくなってから受診すると、すでに手遅れの事もありますし、仮に手術をして手術自体はうまくいったとしても、望むような視力が得られない事が多いと思います。

糖尿病と言われたら・・・適切な時期に適切な加療を受けるために、仮に自覚症状がなくても、定期的に眼科受診を続けて頂きたいと思います。

緑内障について

*眼球に張りを与えている眼球内圧(眼圧)が、眼球の奥にある繊細な神経(視神経乳頭)を圧迫し、それに耐えられずに神経が傷つき、神経の数が減ってくると、目の見える範囲(視野)が狭くなってきます。この状態を緑内障といいます。

*緑内障の初期には、自覚症状がほとんどありませんが、自覚症状がでてきてから来院されると、かなり緑内障が進行してしまっている事があります。重症例では、失明する可能性もでてくるので、特に要注意です。

*眼圧は10~21mmHgが正常範囲と言われていますが、日本人で緑内障の人の多くの方の眼圧は、この範囲内にあるため、眼圧が正常範囲内だからといって緑内障は無いとは言えません。これを正常眼圧緑内障といいます。

*平成12年~平成13年にかけて岐阜県多治見市で行われた疫学調査から40歳以上の方の約20人に1人は緑内障があると言われています。しかし、実際に眼科へ緑内障で通院されておられる方は、その内の2割程度であり、多くの方が緑内障でありながら、それを知らずに日常を過ごしている事になります。

40歳を過ぎれば、眼科で定期的に検診を受けておく事をおすすめします。

*一度傷ついた神経は元に戻らないため、緑内障は治りません。そのため、早期発見・早期治療が必要な疾患です。特に身内に緑内障の方がおられる場合は注意が必要です。

*緑内障と診断されれば、基本的に生涯、点眼薬を使用することになります。点眼薬により眼圧を下げて、視野欠損が進まないようにするのが目的です。

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